メタボ混乱、男性90センチ?
199. 男性85-90センチ、女性80-85センチ:メタボ混乱:
「肥満の人 減量で改善」、◇□体重の医学(3),食事のみでも血糖・脂肪が低下□◇、(朝日新聞、2008.10.19,13版p29.医療)
日本では、やせていても高血圧や高血糖で死亡率が高まることを紹介してきた。でが肥満を見逃して良いわけではない、最終回の焦点は、太った人。太っていて血圧や血糖が高い人がやせれば、状態は改善される。「科学的な根拠が薄い」と批判もある日本のメタボ基準だが、新たな腹囲値の案も出ている。(服部尚、田村建二)
沖縄本島から南西約290キロの宮古島。国内でもとりわけ、太った人が多い地域だ。
「おとおり」(お通り)という風習がある。仲間内が集まってコップに注いだ泡盛を回し飲みする。つまみもつい増える。宮古島青年会議所理事長の安元徹好さん(35)は身長171センチ、体重82キロ。BMI28の肥満だ。最近、宮古島市が取り組むメタボ体操推進に力を入れ、自分も2キロ減ったが、それでも社会人になって10キロ以上の増加だ。
市によりと、06年度の住民検診でBMI25以上の肥満は40~74歳の男性で5割以上、40~74歳の女性で約4割。いずれも肥満傾向が全国一高いとされる沖縄県全体の平均を上回った。メタボリック症候群の割合も県平均より高い。
琉球大の大屋祐輔・准教授(循環器内科)が島の住民650人について、88~91年と02~05の二つの時期に起きた脳卒中の中身を調べたら、脳出血は減り、脳硬塞(こうそく)が増えていた。脳出血は高血圧や加齢で脳の血管が弱くなり、血管が破れることが原因となる場合が多い一方、血管が詰まる脳硬塞は、高脂血症や糖尿病などとの関連が指摘されている。大屋さんらは脳硬塞が増えた原因を分析中だが、肥満お増加も影響しているとみている。
厚生労働省研究班の調査では、肥満がもとで高血圧になった人の割合は80年の段階で男性11%,女性19%。それが、90年には同15%、22%になっていた。肥満度が高まるほど、高血糖、脂質異常などの割合が高くなることも別の調査で確認されている。
いまの日本ではやせた高リスクのために亡くなる人の方が多い。でも、かといって肥満を放置していいということにはならない。検査血に異常があって太っているなら、薬に頼らず、減量で手っ取り早く改善が必要である。
一体、どのくらい見込めるのか。研究を兼ねて市民対象の減量教室を開く筑波大の田中喜代次教授たちはM99~05年の教室に参加した女性401人のデータを分析した。
食事制限と有酸素運動を3カ月続けた結果、体重は平均7.8キロ減少。BMIは、27.3から24.1に。収縮期血圧は131から121ヘ、空腹時血糖は98から90ヘ。メタボ基準の価付近だったのが、一気によくなっていた。
「食事も運動も大事」といわれるが、実際は食事だけでかなり減る。「運動に価値はむしろ、爽快感やストレス軽減、新しい仲間との対話にある」と田中さんはいう。
◇□メタボ新基準を模索□◇
最近、日本のメタボ基準をめぐる新たな報告が相次ぎ、話題になった。
焦点の一つは「どんな腹囲なら、心筋梗塞や脳卒中のリスクを正しく見分けられる」。今の男性85センチ、女性90センチという腹囲基準は、不十分という見方が強い。
土井康文・九州大助教らは福岡県久山町の住民2452人を対象に14年間追跡した調査をもとに、「男性90センチ、女性80センチにした方が、日本や海外の基準よろ優れていた」と提案する。
また、東北大の浅山敬・上級研究員らは80年代から調査を続ける岩手県大迫村(現・花巻市)の男女395人のデータから、男性87センチ、女性80センチ以上のとき、血圧や血糖値で問題が見つかる可能性がたかまる、としている。
腹囲を含めた基準については、厚労省研究班も全国の住民データを集めて検討している。ただ、やせていて心筋梗塞などになる人が多い現状では、細かい数値にこだわり過ぎても、仕方がない。
血圧や血糖が高く、太めならまず減量をしてみる。そうでないなら、塩分や飲酒といった習慣を見直す。メタボ判定は対策を考える目安の一つと考えるのがいい。
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