躁と躁鬱、鬱病の三つがある。
205. 躁と躁うつとは異なる、頑張り過ぎない、08.11.16.
「躁うつと付き合うコツ」前兆見逃さず薬を根気良く、
(朝日新聞2008.11.9.13版p34.「医療」、心の科学(2))うつ状態と躁を交互に繰り返す双極性障害(躁うつ病)は、うつ病とは別の病気で、治療法も異なる。周囲に迷惑をかけ、信頼関係を失うこともある。予防薬をきちんと飲みながら自分の症状を知り、病とうまく付き合うコツをつかむ必要がある。(和田公一、長野剛)
双極性障害の患者が、普通の状態から躁状態に移行することを「躁転」という。多くの患者は「いつの間にか躁になっていた」と振り返る。
神奈川県小田原市に住む会社員寺沢真さん(48)は、昨年12月、2度目の躁転を経験した。仕事が忙しく「このままではうつを再発する」と思い予防のための休職を申し出た。ところが「休職の間に自己開発を」コンピュータの講習会などに通っているうちに、躁になってしまった。
各種セミナー、勉強会に参加し、一晩中知り合いに電話をかける。家族に次々と携帯電話をプレゼントし、新車も購入。さらに毎晩のようにインターネット通販で本やパソコン関連機器を買いあさった。支払は複数のクレジットカード。あっという間の500万円の借金ができた。
躁状態を過ぎると心と体が疲れ果て、ある日突然、奈落の底に落ちるようにうつになる。ただ今回寺沢さんはうつの代わりに、全身の激痛を感じ動けなくなった。今年1月、中国へ観光旅行に出かけるため成田空港に着いた直後のことだった。
寺沢さんは躁状態のことをよく覚えているという。「頭の回転が速くなり、インスピレーションがわき出る感じがして気持がいい。眠らなくても平気で、何でもできてしまう気持になる。お金も簡単に返せると思ってしまう」と寺沢さん。「一方で、みじかな人に対してうたぐり深くなったり、攻撃的になったりする『なぜ自分の邪魔をするのか』と思ってしまう」
躁状態の時に自分がやってしまったことを後悔することで、今度はますますうつ状態が深刻になっていく。8年前に経験した1回目の躁転とその後のうつの過程で、寺沢さんは妻と二人の娘との家庭を失った。睡眠剤を大量に飲んだが死にきれず、自分の首に包丁を当てながら妻に殺して欲しい」と頼んだのが決定打となった。3カ月の入院の跡、離婚した。寺沢さんは「この病気は家庭を破壊することもあるのです」と言う。
□◇○□負担ない暮らしを□◇○□
治療で最も大切なのは、再発予防という。躁状態だと本人は調子が良いつもりだが、周囲を困らせていることが多い。再発を繰り返し、社会的信用や家族との信頼を失うためだ。その予防には、長期間にわたる薬の服用が必要だ。
国立精神・神経センター精神保健研究所の社会復帰相談部長で精神科医の伊藤順一郎さんは、患者一人ひとりが対処法をつかもうと呼びかける。具体的には(1)躁とうつの症状落差をできるだけ小さくする(2)と、感情の波が大きく変化する前兆を見つける(3)躁でも鬱でもない普通の状態を長く保つ----などだ。
(1)のためには、処方される感情調整薬などをきちんと服用する必要がある。(2)では、例えば睡眠に着目。3日続けて眠れなくなったら主治医に相談するなど、自分なりのラインを見つける。(3)を達成するには、身体的にも精神的にも無理な負担がない暮らしを心がける。
伊藤さんは、双極性障害の患者の体験談を医学的にひもどく記事を、精神疾患の患者・家族向け月刊誌で連載している。発行元のNPO法人地域精神保健福祉機構・コンポ(千葉市)の丹波大輔さんは「うつに比べて双極性障害の情報は少なく、患者が専門医や薬に関する正しい知識を得るのが難しい。最新の医学情報を分かりやすく提供したい」と話す。
例えば最近注目されているのは、双極性II型というタイプの多くが、うつ病と診断されている恐れがあることだ。躁状態が比較的軽いため本人も気づかず見逃されやすい。双極性障害の患者がうつ病治療薬を飲み続けると、かえって躁状態をひき起こしたり、躁とうつを繰り返しやすくなったりする問題がある。
寺沢さんは今年10月、職場復帰。再発予防の薬を飲みながら、自分を客観的に見つめる努力をしている。「寝なくても大丈夫、なんて考えるようになったら、僕の婆合は危ないサイン」。「頑張りすぎない」ことも心がけている。
コンポが発行する月刊誌「こころの元気+(プラス)」定期購読のみ。申し込みはホームページ(http://comhbo.net/)問い合わせは電話(047・322・1360)で。『医療』(朝日新聞)
○解説1.○ 双極性障害(躁うつ病): 自分でコントロールできないほどの烈しい躁状態と、生きているのがつらいほどのうつ状態を繰り返す。日本人の約170人に一人がこの病気になるといい、15人に一人のうつ病に比べるとかなり少ない。
○解説2.○ 憂うつ感:睡眠障害、疲労感、死にたいと思う気持、などが2週間以上続くうつ状態の経験があり、さらに、(1)気分が良すぎたり、ハイになったり、怒りっぽくなったりする(2)自分がえらくなったように感じる(3)いつもよりおしゃべりになる(4)色々の考えが次々と浮かぶ(5)注意がそれやすくなる(6)じっとしていられなくなる(7)浪費など自分が楽しいことに熱中してしまう----の症状のうち、(1)を含む四つ以上に当てはまると、双極性障害と診断される。 薬は生涯にわたることも多い。日本うつ病学会双極性障害委員会は「止めると再発する可能性が高いので、2週間から3カ月に一度は診察を受け、処方された薬をきちんと飲んでほしい」と呼びかける。
□警告、注意□この二つ(躁と躁うつ)は、うつ病(depression,melancholia)とは、異なる疾患である。
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