ヒブワクチンようやく発売開始
211. ヒブワクチンようやく「乳幼児の髄膜炎へ 国内で摂取開始」
○キーワ-ド:Hib(ヒブ):インフルエンザ菌b型の略称。冬に流行するインフルエンザの原因はウイルスだが、ヒブは細菌。19世紀にインフルエンザが流行したとき、その病原体と誤解されてつけられた名前がそのまま今も使われている。髄膜炎の他、敗血症や喉頭蓋炎(こうとうがいえん)などを起こす。
乳幼児に重い髄膜炎を起こす細菌「インフルエンザ菌b型(Hib(ヒブ)のワクチンがやっと発売され、接種が始まった。世界で認められ、100カ国以上ですでに使われているワクチン。日本では「任意」の接種にため費用負担はまだ重い。(大岩ゆり、服部尚、立松真文、朝日新聞2008.12.24.p19)
東京都中央区にある聖路加国際病院で19日、ヒブワクチンの発売開始にあわせて接種が始まった。都内の看護師女性(38)は、生後7カ月の男の子を連れてきた。「夫はイタリア人で、ヒブワクチンの接種は当たり前。私も、この子のために、ずっと発売をまっていました。」と話す。
ヒブ、せきやくしゃみなどで唾液を介して感染する。熱や吐き気など風邪と似た症状が出ることが多いが、中には急激に変化し、ヒブが脳や脊髄を覆っている髄膜の中に入って炎症を起こすことがある。それが髄膜炎だ。特に2歳未満がかかりやすい。/ 日本では年間約600人の乳幼児が髄膜炎を起こし、うち約25人が亡くなっているとみられる。約125人は寝たきりになったり、けいれんが残ったり、難聴や発育遅滞が起きたりといった後遺症が残るという。/ 「髄膜炎はかなり初期に見つかれば、抗生物質を大量に投与するなどして治療できる可能性もあります。しかし、髄膜炎を見分けるのは難しい。しかも進行が速い場合が多く、最近は抗生物質がきかないヒブもでてきています」と話すのは日本小児科学会の予防接種担当理事、野々山恵章・防衛医科大学教授。「ワクチンによる予防が一番」と訴える。/ 確実に免疫をつけるには、標準的な回数を接種することだ。月齢によって異なり、ヒブ髄膜炎の発症が一番多いとされる生後2か月〜7か月未満までだと3〜8週間の間隔をあけて3回、その後1年あけてもう一回の合計4回。生後7か月〜12か月未満の場合は最初に2回、1年後に1回に合計3回、1〜5歳は1回の接種で良いという。/ 「7カ月未満までは、同じ時期にやはり3回接種が必要な破傷風、百日ぜき、ジフテリアの3種混合ワクチンと同じ日に接種しても大丈夫。病院に来る手間を省くためにもお勧めします」と野々山さん。/ ワクチン接種は予約制、かかりつけの小児科などに事前に連絡して確認する。
接種したところが赤くなるなどの副反応がでることがあるが、「きわめて安全性の高いワクチンです」と日本赤十字社医療センターの薗部友良・小児保健科部長は言う。薗部さんらは団体「VPDを知って子どもを守ろう」hppt://www.know-vpd.jp/) をつくり、予防接種について解説する。ヒブワクチンについても接種の組み立て方などを紹介している。
**** 欧米、公費でほぼ全員接種 **** 日本「任意」重い自己負担 *****
予防接種には、全額自己負担の「任意接種」と、接種する努力義務が課せられ、国や地方自治体の費用負担によりほとんどの場合無料で接種できる「定期接種がある。
ヒブワクチンは任意接種のため、全額自己負担だ。病院により異なるが、平均1回7千〜9千円程度かかる。
ただ宮崎市や鹿児島市など一部の地方自治体では、費用の一部を助成する制度が始まった。宮崎市では生後3カ月から5歳未満、鹿児島市では生後3カ月から3歳未満を対象に、1回2千〜3千円を補助する。
ヒブワクチンは、約20年前に開発。世界保健期間(WHO)は98年、「ヒブワクチンを定期接種化すべきだ」と推奨を出した。欧米などでは、公費負担で接種され、実際にはほぼ全員の子が受けている。
「細菌性髄膜炎から子どもを守る会」の代表、田中美紀さん(36)は、ヒブの他、同じく細菌性髄膜炎の原因となる肺炎球菌についてもワクチンの承認や定期接種化を訴えている。/ 4年半前、生後5カ月だった息子は、肺炎球菌による髄膜炎にかかり、水頭症やてんかん、難聴など重い後遺症がが残った。2年前に初めてワクチンの存在を知り。「助かる病気だったのか」と衝撃を受けた。それだけに、今回のヒブワクチン発売については複雑な思いだ。「こんなに遅い発売の上、なぜ任意接種という中途半端の導入なのでしょう。任意接種では感染してしまうお子さんが残ります。せひ、定期接種化して欲しい」
現在の定期接種の対象は、ジフテリアやポリオ、麻疹など八つ。日本小児科学会などは今後、ヒブワクチンの定期化を求め、厚生労働省に働きかける予定だ。厚労省「今後、市販後のデーターを収集したうえで、対象にするかどうか検討する」としている。/ ヒブワクチンを販売する第一三共(東京)は当面年間100万本販売する。同社は「不足しているという情報はない」と言う。/ だが、聖路加国際病院では、入荷分は既に予約で完売。新たな接種予約は受け付けていないという。同病院の細谷亮太・小児総合医療センター長は「次の入荷を待っている状態」という。/ 毎年100万人の赤ちゃんが生まれる。「定期接種化や開発に力を入れれば、さらに摂取率は上がり、多くの子供が救われるはずだ」日赤医療センターの薗部部長は話している。(了)08.12.29.
| 固定リンク


コメント